遺言はラブレターのつもりで書きましょう
法律のプロが教える、相続と遺言の豆知識 第1回
具体的かつ明確に、理由をきちんと明記するべし
遺言は、残された家族に対するラブレターのようなものです。相手を思って書くもので、独りよがりではいけません。遺言を書いたがゆえに、相続人間でトラブルが発生することもあり得るのです。
遺留分を侵害する遺言は直ちに無効にはなりませんが、相続人が遺留分減殺請求権を行使した場合はトラブルのもとになります。遺留分を侵害せずに分配をすることこそが、遺言作成者の腕の見せ所。
財産の分配方法も、相続人にとって合理的な分割方法になっているかどうか。実家から離れて生活している相続人に対して実家の不動産を相続させても売却される可能性が高く、実家をその相続人に受け継いでほしいという遺言者の気持ちは結局叶わないことになってしまいます。どの財産を、どの相続人にあげるか、明確に示しましよう。
好きな気持ちを吐き捨てるように書き殴ったラブレターでは、フラれるのがオチです。なぜ好きなのかを書かなければ、誰にでも同じことを言っていると思われてしまいます。遺言も同じで、なぜこのように分割方法を指定するのか、その理由を書きましょう。思い悩んだ末に書いた遺言であることを、わかってもらう必要があります。
遺言が無効になるパターンに注意
2人で1通の遺言を書いたらアウトです。夫婦が遺言を残す場合にやってしまいがちなミスですが、2人の作成者が1通の遺言を共同して作成すると、遺言そのものが無効になってしまうので注意が必要です。
各々の真意が見えないこともありますが、取り消しや撤回の際に自由にできないことが理由です。小学校のころでしたが、友人2人が同じ女の子を好きになって、同じ手紙で愛を告白していました。子供のころの話なので可愛らしいで済まされますが、大人がやったらただの間抜けです。
夫婦のうちどちらが先に亡くなるかはわかりません。相続の発生順で場合分けをし、いずれの場合でも対応できるように、予備的遺言を作成することをお勧めします。
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